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2020年7月3日

渋谷おとなりサンデー 2020年6月7日レポート<前編>

「まずは、やってみよう!」 オンラインで、地域交流の幕開け

今年で4回目の開催となる、「渋谷おとなりサンデー」。しかし、2020年は「コロナ禍」という特別な状況の中、「オンライン開催のみ」という特別な年になりました。

筆者、楢 侑子は、第2回目から、本レポートを担当させていただいており、例年であれば、渋谷区各地で開催されているイベントを取材して回ります。

今年は、「渋谷のラジオ(YouTube Liveで同時配信)」と、「ZOOM(テーマ別交流の部屋)」と「ZOOM(地域交流の部屋)」で行われている企画を、PC画面の前で行ったり来たりしながら取材するという、特別な経験をさせてもらいました。

念のために「渋谷おとなりサンデー」のあらましを説明しようと思うのですが、この取り組みは、フランス・パリの「隣人祭り」がヒントになっています。

高齢者の孤独死をきっかけに、アパートの住人たちが隣人同士のつながりを持とうと、持ち寄りパーティーを始めました。そこから、アパート内に挨拶が生まれ、日常的な交流へと繋がり、さらにヨーロッパ中に広まる一大ムーブメントへ発展。

渋谷では、区を上げて2017年に同様の取り組みがスタート。渋谷区民や渋谷で働く人、遊びにくる人々が自分たちの手で「交流のきっかけ」をつくり、地域コミュニティの活性化に取り組んでいます。

コロナ禍において、刻一刻と変わる状況の中、今年の渋谷おとなりサンデーも、例年同様、6月の第一日曜日をメインに開催されることに。「ただし、オンラインのみで開催しよう!」という決断に至ったのが、GW明け。

「さて、オンラインで、何を、どのように実施するか?」という試行錯誤や調整は、直前まで繰り広げられました。

当日は、一体どんな1日になったのでしょうか

 


9:00【渋谷のラジオ】オープニング・区長の開会宣言

例年であれば、渋谷区のうち、その年フューチャーされたエリアに本部が置かれて開会式が行われますが、今年は、長谷部健渋谷区長も、ご自宅からZOOMで開会式に参戦する運びとなりました。また、挨拶の内容も「オンラインの可能性」に言及したものに。

「オンラインでも、おとなりサンデーの趣旨である、みんなで繋がり助けあったり、地域のコミュニティを見つめ直したりする機会にはできると思います。今回の開催が、何か新しいものが始まるきっかけになればいいなと思います。」

下嶋倫朗渋谷区議会議長は、ご商売のお茶屋さんを背景に背負ってのご挨拶。小林三雄渋谷区町会連合会会長も、白壁の前からのご挨拶。

…ZOOMって、後ろに映る背景や空気感から、うっすらそのお人柄や、ヒストリーが滲み出て、面白いですよね(笑)。

早速、「新しいおとなりさん」を表現できているのではないか?などと思っていると、毎年恒例、長谷部区長の「おとなりサンデー!」の掛け声とともに、1日がスタートしました!

 


9:20【渋谷のラジオ】スペシャルトーク

続く、ラジオ番組は、アスリートの集い。

太田雄貴さん(日本フェンシング協会会長、国際フェンシング協会副会長)と、大日方邦子さん(日本パラリンピアンズ協会会長、日本障害者スキー連盟常任理事、渋谷区教育委員)と、長谷部区長、進行は、ラジオパーソナリティ原田佳子さんで、トークが進んでいきます。

「このコロナ禍、どう過ごしていたか?」というテーマで、早速話題に上がったのは「子どもとの時間」について。

長谷部区長は、土日は各地で開催されているイベントなどへの外出がかさみ、お子さんと接する時間があまり持てないが、この状況下では、コミュニケーションをとる時間がたっぷり持てたとのこと。

フェンシングの太田さんも、去年娘さんが生まれたけど、一緒に過ごす時間が増えたことで、ようやくなついてくれたというエピソードを。

あー。こういう状況って、今の日本で、ほんっとうに、当たり前にある光景ですよね。「おとなりサンデー」とか言ってる場合じゃないんじゃないか?改めて今、「ごかぞくサンデー」が必要なんじゃないか?という所感は、やはり拭えないです

渋谷区長とて、子どもさんやご家族との時間は大切だから、これから、イベントの半分はオンラインからの挨拶でいいんじゃないかな?(アーカイブも残ってお得だし)などと思っていると、話題は美しい「代々木公園」に及びます。

「朝、ランニングしていると、景色ごとに、花や緑、野鳥の姿、広々とした芝生などから、その日の空気感の違いが感じられますね。」

このコロナ禍、渋谷区が誇る大自然に癒された人は多いとあって、代々木公園トークは、この後のZOOMセッションでも頻繁に登場しました。

チェアスキーの大日方さんは、車椅子ではなく義足で歩く習慣がいつもより増え、代々木公園までのお散歩大冒険を楽しむ機会もあったのだとか。

コロナ禍では、日常の移動量は減ってしまいます。だけど、あえてペースを落として「徒歩圏内」を楽しむ感受性や、身体性は活性化する。そんな良さもあるのだなっと思いました。

 


9:30【Zoom 地域別交流】本町・幡ヶ谷・笹塚エリア

今年のおとなりサンデーは、直前に方向性が決まり、告知もWEB中心で十分とは言い難い中、一体どれだけの、どんな人たちが集うのか?「ぜんぜん読めない・・・・未知!」というのが運営者側の目線でした。

ところが、「初参加です。オンラインだから、気軽に参加できました」という方が、やはり、いらっしゃいました!

「石川から出てきて、渋谷のWEB会社に就職しました。」「静岡から就職で上京して、渋谷区民歴2年目です。」渋谷区報や、渋谷の公式LINEアカウントから開催情報をキャッチしてくださったとのこと。

さらに、これまで渋谷おとなりサンデーで企画を主催してきた方や、渋谷歴18年になるベテランさんの姿もあり、数名による新旧入り混じった交流の出来上がり。

地図を見ながら地域情報をシェアするなど、話が弾みます。来年から、「渋谷区の先輩さん・後輩さん」みたいな交流企画はどうでしょうか

 

写真のポーズは、「楽しい〜!」の「C」マークです!

 


10:00【Zoom テーマ型交流】おうち時間、どう過ごしていましたか?

さて、10時スタートの、別のZOOM企画に移動してみます。

出だしこそ、しーんとしていたものの、少しすると、やってきたのは、株式会社リビタの新入社員さん。

リビタは、リノベーションや「BUKATSUDO(大人のための3rdプレイス)」やコミュニティづくりを手掛けるなど、不動産を切り口に、色々な事業を展開されています。毎年、会社所在地である恵比寿にて、社員総出で素敵な企画を展開してくれて、個人的にとても楽しみにしているんです。

今年は、オンライン限定開催ということで、リビタさんの企画はありませんでしたが、新入社員さんが自ら遊びにきてくれるとは、嬉しいです!ということで、当然話も弾みます。

 

41日だけ出社して、PCの支給があったり、リモートワークの手続きをして、それからずっと自宅勤務しています。緊急事態宣言が明けてからも、社内の人数を調整して、ローテーションで出社してます。」・・・なるほど。今年の新入社員にとっては、テレワークがスタンダード?

「研修担当の人とは、コミュニケーションをとってるけど、それ以外の人との交流はあまりないです。」・・・なるほど。

すでにあるコミュニティやイベントが、手法としてオンラインを選択することは比較的イメージしやすいですが、「新しい人との出会いや交流」においては、それ相応の新たな仕掛けが必要だと感じさせるエピソードでした。

午前中は、「Cマーク」での記念撮影がプチブームに。


10:30【Zoom 地域別交流】初台・上原・西原エリア

さて、地域別交流の方は、どうなってるでしょうか?参加者が一気に増えて、15人程度に。

渋谷からJリーグ参入を目指して活動中の、TOKYO CITY F.Cの活動紹介や、ササハタハツエリアの情報交換や交流ができる地域SNSアプリ「ピアッザ」渋谷どこでも運動場プロジェクトの紹介など、地域で活動しているみなさんの告知タイムが行われていました。

想いを持って活動されている方の取り組みを、直接本人の言葉でシェアしてもらったり、WEBをみんなで見ながら、あれこれ言い合えるのも、オンラインならではの良さだと感じました。

ブレイクアウトルームセッション(ZOOM参加者を、さらに小さいグループに分けて、別の部屋でトークできる機能)では、渋谷区テイクアウト・デリバリーMAPhttps://oishibuya.com/ )を見ながら、オススメのお店を教えあい、すぐに食べログで点数を確認したり、Google MAPにお気に入り保存するなどの新しい楽しみも!

「全くのはじめまして」でも、「渋谷」というキーワードと、「自ら参加してみよう」という意思さえあれば、いい時間になるものだと感じました。

ZOOMでの集合写真は、ポーズをつけると、自然と笑みがこぼれます!

 


11:45【渋谷のラジオ】おとなりサンデーTALK 〜地域のつながりと障害者福祉

さて、ラジオの方は、どんな様子でしょうか?

ゲストに、原真衣さん(NPO 法人ヒューマンケアクラブストライド ストライドクラブ所長)と、古戸勉さん(NPO 法人絆の会 福祉作業所「ふれんど」施設長)をお迎えして、活動紹介や、コロナで困ったこと、今後の活動方針などのトークが行われていました。

ソーシャルディスタンスが求められる昨今ですが、発達障害の方の中には、人に近づいてしまったり、「触りたい」という感情に固執してしまう方がいたり、困った場面が何度もあったということ。

みんなが不安な時期だけれども、より一層「不安」という感情を感じやすかったり、逆に人と触れ合えたり、人に受け入れてもらえたら、より一層「嬉しい」という気持ちになるというピュアな心の持ち主でもあるそう。

お二方とも、「障害を持った方に、どういう対応したらいいのかわからない」と感じる方へ向けて、「より一層、啓蒙活動をやっていきたい」とのことでした。

まずは、興味や関心を向けること。それは、オンラインでもオフラインでも変わらない、「おとなりさん」の第一歩ですよね。

写真・テキスト 楢 侑子(ナムフォト)